たくさんの可能性を内に秘めている赤ちゃんたち。そんな彼らの未来が輝かしいものであるようにと奮闘するパパとママ。変化の激しいこれからの社会では、自ら学び、考え、判断して行動する『生きる力』が不可欠です。その基礎となる力を身につけるためにぴったりなのが『絵本の読み聞かせ』です。
0歳で読み聞かせなんてまだ早いと思いますか?その答えは「いいえ」です。赤ちゃんは生まれた時からすでに感じる力を備えています。ぬくもりをしっかり感じながら、自分のために心を込めて本を読んでくれている。そんな親の愛情をたっぷりと感じ、心が満たされると心が安定して『自己肯定力』が強くなると言われています。自分は大切な存在であると認識することは、失敗を恐れずに色んなことにチャレンジしようとする生きる力に繋がるのです。
そしてもうひとつ。絵本は知らない世界への架け橋となります。ただ絵を並べた本が絵本ではありません。そこには毎日の生活に密着した内容がたくさん盛り込まれています。子どもたちは絵本を通して社会を学んでいくことだってできるのです。
けれど、実際は読み聞かせてもそっぽ向いたり、勝手にページを進めてしまったり、反応が薄かったりと、私たちが思っているようにはいかないでしょう。0歳での読み聞かせは絵本の世界への第一歩。無理強いはせずに、徐々に絵本に興味を持てるよう工夫していくことが大切です。
絵本の読み聞かせの効果とは
読み聞かせを行うことには以下のようなメリットがあります
- 感受性を豊かにしてくれる
- 想像力を豊かにしてくれる
- 活字への親近感がわく
- 知的好奇心へつながる
- 言葉を育んでくれる
- 集中力があがる
絵本を読んでもらっていると、言葉の発達が早く表現も豊かな子に育つと言われています。美しい絵にふれることや、絵本の登場人物の気持ちを理解しようとすることで、感受性が豊かになります。感受性が豊かであると、物を感じとったり人の感情を感じとったりすることができるので、気配りや思いやりのある子に育ちます。本を読むということは、そこに書かれている文字をそのまま読んで終わりではありませんよね。映画のようにスクリーンを頭の中に映し出し、実際には見えない景色を想像して物語を楽しんでいきます。その想像する力は相手の気持ちを想像して理解するということにも繋がっていくのです。
本が好きな子に育ってほしいという願いをお持ちのパパママは多いのではないでしょうか。継続して本を読む習慣をつけるには、活字に対して抵抗をなくしていくことが重要です。絵本は子どもの好奇心をくすぐって「また読みたい」と思わせてくれます。知的好奇心は人生において学び続けるための大切な力。その原動力として活躍してくれるのが絵本なのです。そして、たくさんの言葉にふれる機会が多くなることで語彙力があがっていきます。言葉をたくさん知っていると、自分の考えを的確に伝えるといったコミュニケーション能力も身についていきますよ。
最後は、集中力。みなさんも本を読んで話の内容に引き込まれていく経験をお持ちではないでしょうか。続きが気になるような面白いストーリーの絵本はたくさんありますよね。読み手の声に聞き耳をたて話に集中して聞くことは、集中力をつける手助けをしてくれます。
そんな良いところがたっぷりの絵本の読み聞かせ。では0歳の赤ちゃんにどうやって読み聞かせればいいのでしょうか。
赤ちゃんにおすすめの絵本はどんなもの?
単純でシンプルな内容のものがおすすめです。日常生活に密着した遊びや出来事を題材にしたものは馴染みやすく、音がおもしろくリズミカルなものや、色がはっきりとしたものが赤ちゃんにはぴったり。パパやママの声でいろんな言葉を聞かせてあげましょう。
月齢別のおすすめの絵本
新生児頃
暗い眩しいなどの明るさの判断はできますが、焦点が定まらずぼんやりしており、視力は0.01程。色彩も『白や黒』以外は識別することができないモノクロの世界にいる赤ちゃん。ですが、すでにお腹にいる時からママの心音や血液が流れる音を聴いています。生まれたばかりなので『音』の認識はまだうまくできませんが、いつも聴いていたママの声は安心感をもたらします。ねんねのままでも楽しめる音やリズムが楽しい絵本がおすすめ。優しい声で読んであげてくださいね。
おすすめの絵本
◆じゃあじゃあびりびり◆
出典:amazon.com
作・絵:まついのりこ
出版社:偕成社
赤ちゃんが喜ぶ擬音を使った、言葉の響きやリズムを楽しめる絵本です。赤ちゃんが好む色がはっきりした絵はとてもシンプルにできており、「物」「音」「形」を結びつけてくれる一冊になっています。かどが丸いので、自分のお手で読める頃になっても安心。ページも分厚く頑丈なところもママに支持される理由のひとつですね。コンパクトな大きさなので持ち運びにも良いですよ。
◆だっだぁー◆
出典:amazon.co
絵作:ナムーラミチヨ
出版社:主婦の友社
擬音語をふんだんにつかった、言葉の音を楽しめる絵本です。カラフルお化けが放つ不思議な擬音語と表情に赤ちゃんだって引き込まれていくことでしょう。パパやママも音を楽しみながら読んであげてくださいね。まだねんねの赤ちゃんとのコミュニケーションのひとつとして、読み聞かせできる絵本になっています。
生後2~3カ月頃
視力はまだ0.03程ですが、白黒だった世界に赤をはじめとした「原色」が加わってきます。また動くものにも興味を持ち始めるころ。そんな赤ちゃんには色がカラフルで動きがある絵本がおすすめです。
おすすめの絵本
◆しましまぐるぐる(いっしょにあそぼ)◆
出典:amazon.com
絵:かしわらあきお
出版社:学研
黒や白と赤や青などのカラフルな色で描かれたしましまぐるぐるの形。目と口があるお顔。そんな赤ちゃんをひきつける要素がたっぷりの絵本です。まだ遠くはぼんやりとしか見えませんので、20cmくらいの距離で絵本を読んであげるのがいいでしょう。時々絵本をまわしたりして、変化をつけるものおすすめですよ。
生後4~6カ月頃
視力は0.04~0.08くらい。今までは仰向けだったのが、寝返りがうてるようになってきます。視界が広がり、ますます視力が発達してくるころですよ。パパやママの違いもわかるようになり、首が座りはじめる赤ちゃんも。お膝の上で抱っこしながら絵本を楽しんでみる時期です。
おすすめの絵本
◆いないいないばぁ◆
出典:amazon.com
作・絵:松谷みよ子・瀬川康男
出版社:童心社
発売当初から多くの人に愛されてきた絵本です。パパママ世代でも一度は読んだことがあるのではないでしょうか。ワーキングメモリ(物事を処理するために短期的に情報を保存しておく領域)が発達してくる時期にぴったりの絵本。「いないいない」の後に何がくるのかを予想して、「ばぁ」で自分が思ったとおりになると楽しくなるのです。赤ちゃんの笑顔だって見られるかも?!親と子のコミュニケーションのひとつとして、読み聞かせを楽しめる一冊です。
◆くっついた◆
出典:amazon.com
作・絵:三浦太郎
出版社:こぐま社
ページをめくると仲良くくっつく可愛い絵に思わずにっこり。家族みんなを幸せな気持ちにさせてくれる絵本です。是非パパもママもいっしょにくっつきながら読んであげて下さいね。
生後7~8カ月
視力は0.1程。おすわりやハイハイし始める子も多くなり、自由に動けることに喜びを感じている赤ちゃん。細かな部分はまだはっきりとは見えませんが、色んなものに興味をもつ時期。少し仕掛けがあったりすると好奇心をますますくすぐってくれることでしょう。パパママは、ただ声に出して読むのではなく、少し抑揚をつけて読んでみるのもおすすめですよ。
おすすめの絵本
◆はらぺこあおむし◆
出典:amazon.com
作・絵:エリック・カール
訳:もりひさし
出版社:偕成社
色彩が美しい、世界で愛される絵本のひとつです。この絵本の最大の特徴はちょっとした仕掛けがあること。大きさの違うページをめくったり、小さな穴に指を入れたり。そんな仕掛けを楽しめる一冊になっています。また、まだまだ0歳では内容は難しいですが、少し大きくなってから読むとその力強いストーリーに引き込まれることでしょう。
◆だるまさんが◆
出典:amazon.com
作・絵:かがくいひろし
出版社: ブロンズ新社
読んでいて、子どもから大人までクスっと笑ってしまう、大人気のだるまさんシリーズのひとつ。赤色のまあるいだるまさんが、コミカルな動きで登場します。何をしているのかがわからなくても、その音と動きで赤ちゃんを魅了することでしょう。是非、ゆっくりと独特の間を大事にしながら、そして声に変化をつけながら読んであげてくださいね。
生後9~11カ月頃
視力は0.2程です。距離感や奥行きを把握できるようになり、ますます、いろんなものに興味を示すころです。ハイハイで自ら移動して触って物を認識しはじめます。指先も使えるようになり、自分でページをめくろうとする赤ちゃんも出てくるでしょう。そんな時期には、毎日の生活に密着した絵本がおすすめです。たくさん読んで絵本への興味を思う存分引き出してあげましょう。
おすすめの絵本
◆おててがでたよ◆
出典:amazon.com
作・絵:林明子
出版社:福音館
洋服から自分の手足が出た喜びを分かちあえる絵本。「おてて」に「おかお」まだ体のそれぞれの名称もわからない赤ちゃんとたちにとって、この絵本はちょっとした教科書。赤ちゃんに語りかけながら、絵本に合わせて体を指さしたり、ボディタッチしたりして赤ちゃんと一緒に楽しんでみてくださいね。
◆くだもの◆
出典:amazon.com
作・絵:平山和子
出版社:福音館
みずみずしくおいしそうなやさしいタッチの絵が魅力的な絵本です。今にもくだものの甘い香りがしそうな絵の数々に、赤ちゃんだって好奇心をくすぐられることでしょう。離乳食にも慣れ、食べるものにも興味が出てくるころ。赤ちゃんと一緒に、食べるまねをしながら読んでみましょう。
◆きんぎょがにげた◆
出典:amazon.com
作・絵:五味太郎
出版社:福音館
「きんぎょはどこへいった?」と語りながら、どこにいるのかを探すのが楽しい絵本。指差しをしはじめる赤ちゃんもいますので、ママやパパといっしょに指差しして見つけてみるのも楽しいですよ。カラフルで可愛いらしい絵に癒される、美しい一冊です。
じっとしていなかったり、ページをやぶろうとしたり、絵本をなめたりとママが思うようにはいきません。でも決して焦らないでください。赤ちゃんと絵本の出会いは始まったばかり。0歳での絵本の読み聞かせで大事なのは親子の関係を深めること。パパやママの膝の上で温もりを感じながら楽しむ絵本は、赤ちゃん、そしてパパママにとっても幸せな時間です。楽しい時間であれば必ず赤ちゃんは絵本を好きになってくれます。赤ちゃんの興味を思う存分引き出してあげられるよう、たくさんの絵本に出会わせてあげてくださいね。