赤ちゃんが生まれて初めて身に着けるもの、それが「おむつ」です。
おむつには布おむつと紙おむつがありますが、「どっちがいい? どっちがお得?」とお悩みの方もいらっし
ゃることでしょう。
そこで、お母さんがおむつを選ぶ際の参考になるよう、布と紙、それぞれのおむつのメリット・デメリット
に目を向けながら、おむつに関するお母さんの「気がかり」にお答えします。
布おむつと紙おむつのメリット・デメリット
おむつに限らずどんなものにも、良いところと悪いところがあるものです。まずは、布おむつと紙おむつ、
それぞれの長所と短所を見てみましょう。
それぞれのおむつを使用しているお母さんの声をまとめました。
この表を見ると、布おむつは赤ちゃんにとって良いことが多く、紙おむつはお母さんにとって良いことが多いように見えます。
そう言うと、なにか紙おむつは手抜きの象徴のように感じるお母さんがいるかもしれませんが、それは違います。
紙おむつを使うことは手抜きではありませんし、ましてや後ろめたさを感じることはありません。
もしも、お母さんが育児に疲れ切って笑顔も少なくなるようでは元も子もないのですから、お母さんの負担軽減を考えるのは育児をするうえで当然のことなのです。
大切なのは、赤ちゃんとお母さん両方にとって、ハッピーでストレスの少ないおむつライフをおくること。
その点を踏まえ、次からはおむつ選びの肝となる5つのポイントを詳しく見ていきましょう。
布おむつと紙おむつ、かぶれやすいのはどっち?
おむつかぶれに悩むお母さんが布おむつに変えたらおむつかぶれがよくなったという声がたくさんあります。
布おむつは赤ちゃんの肌に優しいと言われますが、吸収力が高くおしりはいつもサラサラといわれる紙おむつと違い、おしっこやウンチをすれば、布おむつの中はビショビショで蒸れも大きいはずなのに、どうしてかぶれが治るのでしょうか?
その秘密は、おむつ替えの回数にあります。
おむつかぶれの最大の原因は、おしっこやウンチによる肌への刺激だということがわかってきました。
ウンチの中には、腸内細菌や酵素などの刺激物が含まれていますし、おしっこにも体内の老廃物など肌を刺激する成分がたくさん含まれていて、その刺激は時間がたつほど皮膚にダメージを与えやすくなるそうです。
そのため、紙おむつではおしりはサラサラでも、汚れたおむつをつけている時間が長く肌へのダメージが大きくなりがちなのです。
一方布おむつは、紙おむつと違って、赤ちゃんが排泄するたびにおむつ替えが必要なので、清潔なおしりの状態が長く続き、刺激物による肌へのダメージを最小限に抑えることができます。
布おむつに変えたらおむつかぶれが治ったというのは、おむつの素材の差というよりも、布おむつでこまめにおむつ替えをするようになることが大きな要因のようです。
布おむつが赤ちゃんの肌に優しいといわれるワケ
それでは、なぜ布おむつは赤ちゃんの肌に優しいと言われるのでしょうか?
それは、肌触りの違いと安全性によるものだと考えられます。
布おむつと紙おむつとではその肌触りに大きな違いがあります。
改良が進んでいるとはいえ紙おむつはの肌触りは、柔らかな布おむつにはかないません。
赤ちゃんの皮膚は大人の2分の1から3分の1くらいの厚さしかないので、布の優しい肌触りを大人以上に感じることでしょう。
また、安全性の面では、やはり石油由来の化学製品が材料となる紙おむつよりも、綿やウールなどの自然素材で作られたおむつやおむつカバーの方が、安心して使えます。
さらに、綿花の栽培から製品の仕立て上がりまで、一切の化学処理をしないで作られたオーガニックコットンのおむつなら、色や仕立てもその風合いを活かして肌に優しく作られたものが多く、洗剤等に配慮すれば経皮毒の心配もなく安心・安全ですね。
布おむつ育児は、やっぱり大変だ?!
初めて赤ちゃんを迎えるお母さんだけでなく、すでに紙おむつに慣れているお母さんにとっても、布おむつを使うことは確かに大変です。
紙おむつに比べて、洗って干してたたんでという手間が加わりますし、おむつ替えの回数も増えます。
雨の季節など、おむつが乾かず困ったという方も多いです。
育児で忙しいお母さんにとっては毎日のことだけに、手間がかかって大変なのは間違いありません。
ところが、布おむつを使っている方の中には、「洗濯やおむつ替えの負担はそれほどでもない」という声もあります。
「最初は大変だったけれど、慣れてしまえば要領もつかめるし大丈夫」という方や「他の物を洗うついでに洗濯するので気にならない」という方、「困った時は紙おむつの助けを借りるから負担ではない」という方もいます。
手間がかかることは間違いない布おむつですが、無理をせずお母さんのペースに合わせて取り入れることで、負担が軽くなる可能性があるようです。
布おむつで、赤ちゃんとおむつコミュニケーション!
布おむつはおむつ替えの回数が多いので、それが大変だと考える人もいますが、おむつ替えが多くなることはデメリットだけではありません。
おむつ替えは、お母さんの楽しみになることもあるのです。
それは、どういうことでしょうか?
実は、おむつ替えはお母さんひとりの事務的な作業ではありません。
布おむつをしている赤ちゃんは、おしっこをすると、それを不快に思ってもぞもぞしたり、ぐずったりします。
そんな赤ちゃんの様子を見守っていると、お母さんが赤ちゃんの排泄のサインに気づくようになるのです。
言葉はなくても、おむつコミュニケーションの始まりです!
また、おむつ替えは、赤ちゃんと触れ合う絶好のチャンスとなります。
おむつ替えの最中にお母さんが笑顔で赤ちゃんに接し、「気持ちよくなったね」などと話しかけると、赤ちゃんも笑ったり声をあげて応えたりするのですから、お母さんも幸せな気持ちになりますね。
こうしたおむつコミュニケーションによって、赤ちゃんは、おむつが濡れているという不快な状況をいつも取り除いてくれるお母さんへの信頼が増し、お母さんは赤ちゃんと気持ちが通じ合うようで嬉しく、子育ての楽しみにもつながります。
おむつ替えが頻繁になる布おむつですが、この点が逆に布おむつの大きな魅力にもなっています。
実はこんなにお得!コストパフォーマンス抜群の布おむつ
最後に、おむつにかかるコストについてみてみましょう。
よく布おむつは安上がりだといわれますが、本当でしょうか?
それを確かめるために、布おむつのみでお子さんを育てたアズマカナコさんの著書『布おむつで育ててみよう』(※)を参考に、新生児から1歳半までのおむつにかかる費用を2015年現在の商品価格で試算してみました。
すると……
<布おむつ使用 合計 およそ42,000円>
内訳 布おむつ代(おむつ30枚分のドビー織生地代) およそ4,000円前後
おむつカバー代(大きさを変えて全部で10枚)およそ3,0000円
洗濯代(粉石けん・重曹・酸素系漂白剤等)およそ5,000円
その他(おむつを干すパラソルハンガー・蓋つきバケツ・おしりふき用ガーゼ等)およそ3,000円
となり、これに洗濯のための水道代や電気代を加えた金額が必要となります。
同様に1歳半までを全て紙おむつで過ごした場合は、
<紙おむつ使用 合計 およそ82,000円>
内訳 1日に単価15円のおむつを平均10枚使用と仮定(@15円×10枚×547日) 82,050円
となりました。
その差はおよそ40,000円。布おむつは、スタート時におむつ代としてまとまった金額が必要ですが、長い目で見れば明らかなコストメリットがあります。
もしも、おむつ離れに時間がかかった場合や、2人目・3人目を含めたトータルコストを考えれば、さらに紙おむつとの金額差がひろがります。
(なお、布おむつ・紙おむつともに、どんな製品や素材を選ぶかによってコストは変化しますので、上記の数字はあくまでも参考としてご覧ください。)
おむつ選びの参考になるように、布おむつと紙おむつの特徴や、実際のおむつ生活についてみてきました。
おむつをどうするか迷った時には、布と紙それぞれのメリット・デメリットをよく知り、赤ちゃんとお母さんが置かれている生活環境や体の状態を考慮して決めていくと良いでしょう。
時と場合により、両方を使い分けるのも良いですね。
いずれの場合も、お母さんが頑張りすぎないことが大切です。
我が家にピッタリのやり方を見つけ、赤ちゃんにもお母さんにもストレスの少ない、快適なおむつ生活をおくりたいですね。
- 参考図書
『布おむつで育ててみよう』(文芸社/アズマ カナコ:著)
布おむつやおむつカバーの作り方なども掲載されています。布おむつ育児の入門書としておすすめです。