「赤ちゃんがよだれを出すのは当たり前」とわかっていても、その量があまりに多かったり、逆に少なすぎたりすれば、気になりますね。また、よだれかぶれに困っている方もいらっしゃることでしょう。でも心配はいりません。よだれの原因や効能など、よだれのあれこれを知れば、ママの心配や悩みも軽減されるはず……ということで、早速よだれについて見ていきましょう!
なぜ、赤ちゃんはよだれを垂らすの?
赤ちゃんはよだれを垂らしていることが多いので、大人に比べて唾液の量が多いようなイメージがありますが、実はそうではありません。大人の唾液の分泌量が1日あたり1~1.5リットルほどであるのに対し、赤ちゃんの分泌量はせいぜい100~150CCなのだそうです。なんと、赤ちゃんは、大人の10分の1しか唾液を分泌していないのです。
では、赤ちゃんはなぜ大人以上にたくさんのよだれを垂らすのでしょう? それは、赤ちゃんの「唇を閉じる力」が弱いことや、小さいうちはおっぱいやミルク以外のものをスムーズに飲み込むことが上手にできないことが原因だと言われています。
つまり、赤ちゃんのよだれは、その成長過程で必ずあらわれることの1つで、個人差はあっても誰もが経験することなのです。
唾液には大切な役割がある!
そんな赤ちゃんのよだれですが、さすがにいつもダラダラとよだれを垂らしているのを見ると、何とかしてあげたいと思うものです。けれど、よだれのもとである唾液には次のような役割があり、唾液は赤ちゃんとって健康維持に不可欠な分泌物なのです。
■口の中を清潔に保つ
唾液の中にある抗菌物質(ラクトペルオキシダーゼやラクトフェリンなど)が、口の中の細菌を取り除き、口内を清潔に保ってくれます。唾液の多い子が虫歯になりにくいというのはこのためです。
■食物の消化を促進する
唾液中の消化酵素(アミラーゼ)が、デンプンを分解し消化・吸収を助けます。
■ものを噛んだり飲み込んだりしやすくなる
唾液が食べ物と混ざることで、食べ物を噛みやすくなり、また飲み込みやすくもなります。
■口の中を潤す
ものを噛む時だけでなく、おしゃべりなどで口を動かす時には、唾液が潤滑油のような働きをします。食事ができるのも、しゃべることができるのも口の中が唾液で潤っているからです。
昔は「よだれが多い赤ちゃんは病気知らず」などと言われましたが、昔の人は、科学的な知識はなくても、このような唾液の働きを経験的に知っていたのかもしれませんね。
赤ちゃんのよだれは、ここに注意!
唾液は良いことづくめの分泌物でしたが、これがよだれに変わると、話は少し変わってきます。赤ちゃんのよだれに関しては、ママが注意してあげなければならないこともあるのです。それはどのようなことでしょうか?
よだれは、一般的には3~4ヶ月頃から目立ち始め、離乳食を始めたり乳歯がはえ始める時期(5~7ヶ月頃)に量が増え、1~2歳位で収まることが多いようです。そんなよだれの時期や普段のよだれの量などは個人差が大きく、あまり気にする必要はありません。それよりも、次の3点に注意してあげることが大切です。
1.よだれかぶれになっていませんか?
よだれが多い赤ちゃんは、どうしてもお口の周りがかぶれがち。かぶれを防ぐには、柔らかなガーゼなどでよだれをこまめにふき取り、清潔にすると同時に保湿することが大切です。けれども、そんな丁寧なケアにもかかわらず、かぶれてしまったらどうすればよいのでしょう?
よだれかぶれは、実はスタイが原因になることもあります。特に肌の敏感な赤ちゃんは、スタイのこすれる刺激が強すぎてかぶれを起こしやすいのだとか。そこで、保湿に気を配りながら、スタイをオーガニックコットン100%の肌触りのやさしい素材のものに変えてみたり、思い切って1週間ほどスタイを外してみたりすると、症状が好転することがあるそうです。1度試してみてはいかがでしょう。
2.よだれの量が急に増えていませんか?
口内炎や扁桃腺炎など、お口の中の炎症が原因で突然よだれが増えることがあります。炎症による痛みが唾液の分泌を増加させたり、痛みのために唾液をうまく飲み込めなくなったりすることがその原因です。よだれが急に増えた時は、お口まわりに炎症がないかどうかに注意してください。お口まわりの炎症はわかりにくいこともあります。よだれの急増に加えて、泣き止まない、機嫌が悪いなど、赤ちゃんに普段と違う様子が見られたら医師に相談するとよいでしょう。
3.よだれの量が急に減っていませんか?
普段からよだれが少なかったり、出ていなかったりする赤ちゃんは、よだれを飲み込む力がついているということなので心配いりません。けれども、普段はよだれが出ているのに急によだれが全く出なくなった時には、脱水症状の可能性もあるので、赤ちゃんの様子を見ながら水分補給をし、体調が悪そうな場合は医師の診察を受けましょう。
以上のように、よだれは赤ちゃんの不調を知らせるバロメーターになることもあります。だからといって、よだれの時期や量だけに囚われて心配するのでなく、赤ちゃんの全体の様子をよくみて判断することが大切です。
さて、赤ちゃんのよだれについて基本的なことをご理解いただけたでしょうか? 赤ちゃんの健康にとって、なくてはならない唾液。その唾液を上手に飲み込む力がつくまで、よだれと上手に付き合っていきましょう。しばらくは、よだれかぶれが気になったり、洗濯が大変な時期が続いたりするかもしれませんが、あまり神経質にならず、例えばよだれ用のスタイをファッションアイテムとして楽しんだり、赤ちゃんのよだれの変化に成長の証を見つけたりなど、よだれの時期を積極的に楽しむことができると良いですね。