ベビーカーなどを販売するコンビ株式会社が実施したアンケートでは、34%の妊婦さんに妊娠線が見られたという結果がでました。およそ3人に1人の割合で妊娠線ができているのですね。しかも、何の予防もしなかったのに妊娠線が全くできなかったという人がいる一方で、気を付けてケアしていたにもかかわらず妊娠線ができてしまったという人もいます。「えっ、どうして?」「わたしは、大丈夫?」そんな妊娠線にまつわる疑問や不安にお答えします。
妊娠線ってなに? なぜできる?
妊娠線とは、妊娠が原因で皮膚の深いところにある真皮層でコラーゲン繊維が裂けてできてしまった「肉割れ」のことです。妊婦さんの身体が大きくなるにつれて、表皮は比較的伸びるのですが、真皮や皮下組織は表皮の伸びについていくことができず、亀裂が生じて妊娠線になってしまうのです。
妊娠が原因となるために妊娠線と呼ばれますが、肉割れは妊娠時以外でも起こり、子どもの成長期やダイエット後に急激なリバウンドがあった時、また特定の筋肉を過剰に鍛えた時などにも生じることがある症状です。
妊娠中は、お腹だけでなく身体全体がふっくらしてきますから、お腹以外にも太ももや胸・腰などにまで妊娠線ができてしまうことも多いようです。
妊娠線ができやすい人の傾向
妊娠線ができるメカニズムはわかりました。でも、それならば、妊婦さん全てに妊娠線があらわれても不思議ではありません。それなのに、なぜ妊娠線ができる人とできない人がいるのでしょう? 実は、妊娠線は、様々な条件から「できやすい人」と「できにくい人」がいるのです。あなたは、どちらでしょうか? 早速、妊娠線ができやすい人の傾向をチェックしてみましょう。
■妊娠前からふっくらしている
ふっくらした人は、皮下脂肪が多く筋肉が少ない人が多いので、断裂が起きやすいと言われます。
■小柄な体型である
小柄な方は骨盤が小さいことが多く、胎児を抱えるためにお腹が前に大きくせり出す傾向があり、腹部の皮膚への負担が大きくなって妊娠線ができやすくなります。
■乾燥肌である
乾燥肌の方は、皮膚が固くなりがちで伸びにくいため妊娠線が出やすいようです。
■多胎児を妊娠している
■体重増加が大きい
急激な体重増加により身体が急に大きくなると、皮膚の伸びが追い付かず、妊娠線があらわれやすくなります。
チェック項目が多いほど妊娠線ができやすい傾向がありますので、注意が必要です。
妊娠線の効果的な予防と対策
それでは、妊娠線を防ぐにはどのような対策をすればよいのでしょうか? 妊娠線の予防には、次の2つのポイントを押さえておくと良いでしょう。お腹の大きさが目立ち始める少し前から対策を講じれば、なお効果的です。
■体重管理
妊娠線を防ぐには、一気に体重が増えないように注意して、急激な皮膚の伸びをできるだけ防ぐことが1番大切です。妊娠中は、つわりがおさまる頃から食欲も増して、ついつい食べ過ぎてしまいますから、細心の注意が必要ですね。
けれども、妊娠線を気にするあまり食事量を押さえ、お腹の赤ちゃんにとって必要な栄養を摂らなくては、赤ちゃんの成長にも差支えます。段階を経た体重増加やお腹の成長には皮膚も対応できますので、妊娠時に必要な栄養をきちんと摂ったうえで、適正な体重管理をしていきましょう。
そのためには、バランスの良い食事を心がけ、ウォーキングや散歩などの軽い運動を毎日の生活に取り入れていくことも大切です。
■スキンケア
体重管理と同時に、皮膚に保湿クリームなどを塗って、充分なうるおいを与えることも効果があります。妊娠線予防用のクリームもたくさん発売されていますが、保湿ができるものであれば、妊婦さん用以外の一般的な保湿クリームでもOKです。
また、潤いを保ち妊娠線を予防するには、ただクリームを塗るだけでなくマッサージをするとより効果的です。その点では、妊娠線予防クリームは、マーサージしやすいテクスチャーを持っているものが多いので、使いやすいかもしれませんね。
いずれにしても、妊娠中は肌も敏感になっていますので、ご自身の肌に合ったものを選んで、刺激し過ぎないように注意してください。
もしも妊娠線ができてしまったら……
先にもお話しましたが、体重管理をしたり、予防クリームを使っていたりしても、妊娠線ができてしまうことがあります。そのため「予防クリームなんて気休めだ!」という方もいますが、決してそうではありません。妊娠線ができるかどうかは、体質や肌質による影響も大きいのです。
そこで、もし妊娠線ができてしまっても、増大を防ぐため、あきらめずに体重管理やマッサージを続けましょう。特に、適正な体重管理は、元気な赤ちゃんを産むことにもつながっていきます。
できてしまった妊娠線は、産後には徐々に目立たなくなっていきます。残念ながら完全になくなることはありませんが、およそ半年くらいで透明に近い状態にまで戻ることが多いようです。
さて、妊娠線について色々とみてきましたが、妊娠中は、妊娠線だけでなく、妊婦さんの身体に様々な変化が起こります。体質や肌質、髪の質まで妊娠前と変わってくることもあります。大切なのは、そのような変化に過敏になりすぎないこと。赤ちゃんの成長を想いながら、自分の身体とゆったり向かい合っていきましょう。妊娠線予防のための体重管理や保湿クリームによるマッサージも、「頑張りすぎない! 無理しない!」が長続きの1番のコツになりそうです。
※参考図書
『月数ごとに見てわかる! 妊娠・出産新百科』たまごクラブ:特別編集 株式会社ベネッセコーポレーション
『この1冊であんしん はじめての妊娠・出産事典』竹内正人:監修 朝日新聞出版